小手鞠るい 『ウッドストック森の生活』
地方生まれだからか、東京で暮らしていると、
『緑が足りない! 綺麗な空気を吸いたい!』
という思いが湧きあがることがしばしばあります。
そんなとき目に入ったのが、小手鞠るいの『ウッドストック森の生活』。
本書は、アメリカニューヨーク州の緑豊かなウッドストックに、暮らす筆者の日常を綴ったエッセイです。
同居人は、夫と猫のプリン。
ニューヨーク州といえば、マンハッタンの摩天楼を真っ先に思い浮かぶけれど……
マンハッタンから2時間半ほど車で走れば、山々が連なり、木々の生い茂る豊かな森が広がっているそうです。
宇宙を身近に感じられるほど神秘的な満天の星空。
花の咲き乱れる桃源郷のような山道。
読んでいるだけでうっとりするような描写。
そんな風景を日常的に楽しめるだなんて羨ましい!
でも森の暮らしは楽しいだけではなく、厄介な事も不便な事も沢山あることを筆者は教えてくれます。
停電はしょっちゅうだし、家でネズミを見かけるのも日常茶飯事。
雪が降ったら、除雪車を呼ばないと家から出る事さえできない。
庭の花を、鹿がむしゃむしゃ食べていることも。
そしてアメリカでマイノリティとして生きることの難しさにもさらりと触れてあって。
それでも文章から溢れ出るのは、森への深い愛情。
森の暮らしを、筆者は心から愛して楽しんでいるのです。
今の私に、同じような暮らしができるかな……と考えると、正直ちょっと難しいかな。
鹿はともかく、ネズミや昆虫と共生できるかどうか。
美術館や映画館、そして大型書店が近くにある生活を、今はまだ楽しみたいです。
とは言っても、やはり魅力的に映る森での暮らし。
もし今度、旅に出かけることがあったらそういう場所に行ってみるのもいいな。
なんとなく手にした本だったけれど、私の知らない世界を見せてくれた素敵な本でした^ - ^